MBTIとビッグファイブ、二枚の結果をどう読む?相関表と神経症傾向
MBTIとビッグファイブの結果を机に並べて、対応表を読み解きます。468人と185人の研究、相関の意味、MBTIにない神経症傾向、リーダーシップ研究の比較限界と人選への利用禁止を整理します。
MBTIの4指標はビッグファイブの4因子と相関しますが、一枚の結果をもう一枚へ換算する表ではありません。神経症傾向に対応するMBTIの指標はなく、どちらも病名を決める結果として扱えません。好みの話か、特性の程度の話か、知りたいことを確かめて使います。
- MBTIのE/Iは外向性、S/Nは開放性、T/Fは協調性、J/Pは勤勉性と相関します。
- 神経症傾向に当たる指標はMBTIにはなく、4文字から「神経質かどうか」はわかりません。
- T/Fと協調性の相関は.44〜.46で、重なりは一部です。F型でも協調性の低い人はいます。
- ビッグファイブは特性の強さを、MBTIは好みの方向を表します。MBTI®は採用や人選には使わないものとされています。
職業講座から帰ると、机に二枚の結果が残りました。片方にはMBTIの4文字、もう片方にはビッグファイブの特性の得点。「こっちでFなら、そっちでも協調性が高いはず?」。行を行き来しているうち、ビッグファイブの神経症傾向に当たる欄が、MBTIには見つからないと気づきます。これは結果の読み方を考えるための架空の場面です。
二つの道具が似た言葉を使っていても、同じ質問に同じ方法で答えているとは限りません。対応するところ、重なりが一部のところ、そもそも対応しないところを分けると、片方の紙で説明できなかったことを、無理に埋めずに読めます。
同じ「性格」でも、得点と好みを分けて読む
ビッグファイブは、外向性、協調性、勤勉性、神経症傾向、開放性という5つの特性の強さを表す考え方です。協調性は調和性、勤勉性は誠実性、神経症傾向は情緒不安定性とも訳されます。日本語で使える尺度には、10項目で5特性を測るTIPI-Jなどがあります。
MBTI®はE/I・S/N・T/F・J/Pの4指標で、どちらを好むかを分けます。公式団体は、特性や能力を測る道具ではないと説明しています。ビッグファイブの「どのくらい強いか」と、公式MBTIの「どちらを好むか」という立場の違いを、まず紙の端に書いておきましょう。
対応表で見える関係と、残る違い
McCraeとCostaの1989年の研究は、19歳から93歳までの468人(男性267人、女性201人)に両方の検査を実施し、得点の相関を調べました。E/Iと外向性、S/Nと開放性、T/Fと協調性、J/Pと勤勉性に対応があり、相関の強さは.44〜.74でした。男女別の値と向きは、次の前半の表で確認できます。後半は使い分けを考えるための目安です。
| MBTI の指標 | 対応するビッグファイブの因子 | 関係の向き | 相関(男性/女性) |
|---|---|---|---|
| E/I | 外向性 | E 寄りの人ほど外向性が高い | .74/.69 |
| S/N | 開放性 | N 寄りの人ほど開放性が高い | .72/.69 |
| T/F | 協調性 | F 寄りの人ほど協調性が高い | .44/.46 |
| J/P | 勤勉性 | J 寄りの人ほど勤勉性が高い | .49/.46 |
| 対応する指標なし | 神経症傾向 | MBTI に当たる指標がない | 強い相関なし |
| 目的 | 向いている考え方 | 理由 | |
| 自分や相手の好みの違いを話し合う | MBTI | 「どちらを好むか」の言葉で、違いを話題にしやすい | |
| 特性の強さを数字で比べる | ビッグファイブ | 連続した得点で表すので、程度の違いがわかる | |
| 気持ちの安定・不安定を考える | ビッグファイブ | 神経症傾向という特性がある | |
| 採用や人選 | どちらも慎重に | MBTI® は公式に採用への利用を認めていない |
この研究は、MBTIの4指標がビッグファイブのうち4側面を測っていると結論づけています。出版元が2009年にまとめた185人の資料では、別の測り方を使っても、E/Iと外向性が.70、S/Nと開放性が.44、T/Fと協調性が.47、J/Pと勤勉性が.54と同方向の相関でした。神経症傾向との相関はすべて.11以下という小さな値でした。
相関係数は、0で関係がない、1で完全に一致することを示します。.7前後のE/Iと外向性、S/Nと開放性にはかなり強い関係があります。一方、T/Fと協調性の.44〜.46では、関係があっても重なる部分は限られます。二つの検査名が並んでいるからといって、同じ得点を別の言葉で印刷したものとは読めません。
相関係数を2乗すると、二つの得点が共有する部分の割合のおおよその目安になります。.44なら約19%です。これは当サイトの計算です。結果を見比べていた人も、「Fだから協調性はこの点数」と線を引くのをやめます。集団の得点の関係を、一人の換算式として使うことはできません。
Fの文字で、思いやりを採点しない
F寄りの人ほど平均では協調性が高い傾向がありますが、Tで高い人も、Fで低い人もいます。McCraeとCostaは、T/Fが人への優しさ・厳しさという面を捉える一方、信頼や思いやり、協力を直接は測っていないとも述べています。T/Fだけを見て、頼れる同僚かどうかを決めることはできません。
結果を見た人が「自分はFなのに、いつも人に合わせられない」と落ち込んだとしても、そもそも一致を義務にする必要はありません。何を大事にして決めるかという話と、ある特性の得点がどれくらいかという話を、別々に確認できます。協調性の高いタイプを探すときにも、こうした測っていない面があることを忘れないでください。
神経症傾向の空欄を、4文字で埋めない
MBTIには神経症傾向に当たる指標がありません。ビッグファイブでは、気持ちの不安定さに関わる特性として扱いますが、対応する文字を探して「このタイプは神経質」と決めることはできません。上の研究でも、強く相関するMBTIの指標は見られませんでした。特性の得点から、そのまま病名を決めることもしないでください。
16Personalitiesは、MBTIではなく、ビッグファイブを組み直した独自の枠組みだと説明しています。自信やストレスへの向き合い方に関する5つめの指標、アイデンティティ(-A/-T)がある点も公式MBTI®と違います。似た4文字が印刷されていても、同じ道具に一項目を足しただけとは扱えません。
研究の見方と公式の理論が違うところもある
McCraeとCostaは、はっきり二つに分かれた好みや質的に異なるタイプという見方はデータで裏づけられず、比較的独立した4つの連続した次元として捉えられると報告しています。EとIの境目に近い人が、どちらの説明にも覚えがあることを考えるときに関わる指摘です。
一方、公式MBTI®は、どちらを好むかによってタイプが決まると考え、しっくりこない結果は本人が説明を読み、最終的に自分に合うタイプを確かめるとしています。研究による解釈と公式の理論を、同じ結論としてまとめないで読みましょう。二枚の紙に違いがあることを、どちらか一方の失敗と急いで決めなくてかまいません。
仕事の成果の数字は、そのまま勝負させない
予測の研究にも違いがあります。Judgeほか(2002)は、リーダーシップについて73のサンプルをまとめ、ビッグファイブの5特性を合わせた相関を.48、もっとも安定した関係を持つ外向性を.31と報告しました。
Zárate-TorresとCorrea(2023)は、コロンビアで経営学を学ぶ大学生を調べ、MBTIとリーダーシップ行動との関係は弱く、説明できる割合は約1%と報告しています。これを読んで、個々の学生の指導力を4文字から採点することはできません。
二つの研究は対象も測り方も違うため、数字を並べて「何倍の予測力」と比べられません。公式団体も、MBTI®を採用や人選に使うことは倫理に反するとしています。自分や相手の理解に用いる道具で、成果の予測検査とは位置づけていません。ビッグファイブにも、採用なら何にでも使ってよいという結論を足さないでください。
結果を重ねず、次に話したい問いを選ぶ
本人は、MBTIの紙には「どんな決め方が自然に感じられるか」、ビッグファイブの紙には「特性の程度をどう読むか」と書き添えます。表の使い分けは、タイプ論を理解するための提案で、研究が決めた唯一の使い方ではありません。
好みの違いを話すのか、特性の強さを比べたいのか、気持ちの安定に関わる特性を知りたいのか。問いに合わせて紙を取り出せば、片方をもう片方に直す作業はいりません。相関表は関係を知るために残し、自分や他人を一つの数値にまとめないで使えます。
あわせて読む:『協調性が高いMBTIタイプはある?』、『64MBTIとは?』、『MBTIの結果が違う気がする?』、『リーダーに向いているMBTIタイプはある?』
出典
- MBTI とビッグファイブの相関(468人)、次元かタイプか、T/F が測っていない面:McCrae & Costa(1989)Journal of Personality 57(1) (参照)
- 出版元のデータでの相関(185人):Schaubhut, Herk & Thompson(2009)MBTI® Form M Manual Supplement (参照)
- ビッグファイブの5つの特性の日本語名、TIPI-J:小塩・阿部・カトローニ(2012)パーソナリティ研究 21 (参照)
- ビッグファイブとリーダーシップのメタ分析:Judge, Bono, Ilies & Gerhardt(2002)Journal of Applied Psychology 87(4) (参照)
- MBTI とリーダーシップ行動の関係:Zárate-Torres & Correa(2023)Frontiers in Psychology 14 (参照)
- MBTI® は好みを分けるもので、特性や能力を測らないこと:The Myers & Briggs Foundation「Myers-Briggs Overview」 (参照)
- 採用や人選に使わないこと:The Myers & Briggs Foundation「MBTI® Code of Ethics」 (参照)
- 16Personalities の枠組み:16Personalities「Our Framework」(英語版) (参照)
MBTI Type Guide の編集名義です。記事の調査・執筆・レビュー・翻訳の手順は「編集方針」ページに記載しています。
よくある質問
相関があるなら、MBTIから得点を換算できますか?+
対応表は個人の換算式ではありません。重なりは一部で、同じタイプの中にも特性得点の違いがあります。
神経症傾向はMBTIのどの文字ですか?+
対応する指標はありません。4文字から神経質さや病気を決めることはできません。-A/-Tも公式MBTIの指標ではありません。
研究の数字で二つの優劣を決められますか?+
研究対象や測り方が違う数字を単純比較できません。何を知るかを先に決め、採用や人選ではMBTIの倫理上の禁止も守る必要があります。
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