十年前のノートと今の自分――MBTIのタイプは変わるのか、育つのか
同窓会の準備で見つけた昔のノートから、MBTIのタイプ発達を考えます。生まれつきという公式の理論、心の働きが育つ年齢の目安、受け直しで結果が変わることを分けて読み解きます。
公式MBTI®は、生まれつきのタイプは変わらず、心の働きの使い方が生涯にわたって発達すると考えます。ただし、これは理論上の説明です。検査を受け直すと結果が変わることはあり、昔より上手に話せるようになったことも、4文字の変化と同じ意味ではありません。
- 公式の考え方では、タイプは生まれつきのもので一生変わらない一方、心の働きの使い方は発達していきます。
- 主機能は7歳ごろ、補助機能は20歳ごろ、第3機能は30〜40代、劣等機能は中年期以降に発達するという目安があります。
- 「タイプは変わらない」は理論上の考え方で、実際に受け直すと結果が変わることはあります。
- 年齢とともに「変わった」と感じるときは、使い慣れていない働きが発達した可能性も考えてみましょう。
同窓会の会場を探していたら、十年前のノートが出てきました。幹事の分担を書いたページに、「大勢の前で決めるのは苦手。後で一人で整理したい」とあります。今の自分は皆の前で候補を説明し、意見が割れたときにも話をまとめています。「ずいぶん変わったな」と笑いながら、会議のあとに一人で考える時間がほしいことには、まだ覚えがあります。
これはタイプ発達を考えるための架空の場面です。昔と今を比べた個人の記録や研究資料ではありません。ノートの持ち主は、話す力が付いたのか、好みが変わったのか、検査の答え方が変わったのかを、いったん別々に考えてみることにしました。
同じ好みでも、できることは増えている
公式団体Myers & Briggs Foundationは、理論上タイプを生まれつきのものと説明しています。日本MBTI協会も、生まれつき備わるタイプは一生変わらない一方で「成熟していく」としています。固定した4文字が、そのまま一生同じ行動をするという約束になっているわけではありません。
公式の説明で発達するのは、心の働きの使い方です。使い慣れていない働きも育つと、周囲からの見え方が変わります。タイプの感じ方や表し方が変化しても、理論では元のタイプが別のものへ入れ替わったとは捉えません。この区別を知ると、「前より人前で話せるから、内向型ではなくなった」と急いで結論を出さずに済みます。
ノートの人も、現在は会場の条件をまとめて皆に見せられます。けれど、その資料を作ったのは、一人で候補を読み比べる時間でした。説明し終えたあとには、静かに帰って考えたい。こうした様子なら、外でできることが増えたことと、本人が楽に使えるやり方が残ることを、同時に言葉にできます。もちろん、これだけで内向型と判定することはできません。
年齢表を「もう身につけたはず」に使わない
公式サイトは、4つの心の働きに発達時期の目安を示しています。主機能は7歳ごろまで、補助機能は20歳ごろまで、第3機能は30代から40代、劣等機能は中年期以降です。表の順番は、理論が成長をどう捉えているかを読むためのものです。
| 心の働き | 発達する時期の目安 |
|---|---|
| 主機能 | 7歳ごろまで |
| 補助機能 | 20歳ごろまで |
| 第3機能 | 30代から40代 |
| 劣等機能 | 中年期以降 |
この年齢を見て、誕生日までに何ができなければ遅れている、と採点する必要はありません。タイプの発達は生涯を通じて続くものとされています。16タイプの主機能と劣等機能の対応は、関連の「グリップ状態とは?」の記事でも確認できます。ノートの持ち主が今も人前で緊張する日があっても、それだけで未発達と呼べるわけではありません。
公式サイトは、人生の前半に得意な働きを育てると説明し、そこで止まると、考え方がかたく一面的になると述べています。人生の後半に、使い慣れていない働きも育てることが成長につながる、という考え方です。自分の得意な方法だけで今回の同窓会も進めようとしていないか、と振り返る入口にはできます。
たとえば十年前のメモには「良い会場を決めてから皆に知らせる」とあります。今は、候補を決め切る前に、来やすい場所や事情を聞いています。責任を持つことの表し方も、全部一人で決めることから、必要な情報を集めて分担を確認することへ変わったようです。これは理論を説明する場面の一例で、どの機能が発達したかを証明する材料にはしません。
受け直した結果には、別の数字がある
「タイプは変わらない」という公式の理論と、毎回の質問紙の結果が一致するかは、違う問いです。出版元The Myers-Briggs Companyの米国データでは、15週間以内の受け直しで4文字すべてが同じだった人は約半数、3文字以上が同じだった人は約9割でした。理論が変わらないと述べていても、回答から出る結果まで必ず同じになるとは言っていません。
出版元は、1文字だけ結果が変わる人の多くでは、その人の中でいちばんはっきりしていなかった指標が変わると説明しています。結果の変化は、元々の好みが不明瞭だったことや、そのときの状況を反映している可能性があります。「今回違ったから、本来の性格が変わった」と一つに決める根拠にはなりません。
逆に、毎回同じ結果なら、昔から成長していないという意味でもありません。ノートの人が以前と同じ4文字だったとしても、会場の条件を伝える言葉や、友人の事情を確かめる行動は変わっています。結果の一致だけを見ると、本人が積み重ねてきたことが抜け落ちます。
昔のメモに、今の行動を書き添えてみる
同窓会の案を見ながら、本人はノートの余白に書きます。「一人で考えてから話すと落ち着くのは同じ。でも、皆に相談する時期を早くした」。変わらなかったことと、変えたことを同じページに置くと、どちらかを打ち消さずに済みます。
昔の自分を「未熟」、今の自分を「完成」と名付けなくても、具体的な違いは説明できます。締め切りを伝えるようになった、頼まれたことをその場で全部約束しなくなった、困ったら共同幹事に相談できるようになった。これらの行動を、4文字の変化があったかどうかにかかわらず振り返ってよいのです。
一方、今の結果がどうもしっくりこない場合には、どんな場面を思い浮かべて回答したかも考えてみてください。仕事中の役割だけを答えたのか、期待される自分を選んだのか。結果が変わる理由や自分に合うタイプの探し方については、関連の記事でさらに整理しています。
今回の集まりで試すことは、一つ決められる
ノートを閉じる前に、本人は次の打ち合わせで尋ねることを書きます。「会場を決める前に、移動や食事で気になる条件を教えて」。十年前との違いを、成長したタイプの説明だけで済ませず、今回の行動に結びつけた形です。
その聞き方が必ず全員の納得につながるとは限りません。予定が合わない人も、返事をしない人もいるでしょう。それでも、何を聞き、どこで助けを頼み、最後に何を引き受けるかは選べます。タイプ発達という考え方を、自分を固定する札より、使える方法を少しずつ増やす話として読んでみてください。
あわせて読む:『MBTIの結果が変わるのはなぜ?』、『グリップ状態とは?』、『MBTIの「成熟」とは?』
出典
相性ペア
恋愛テストを試すMBTI Type Guide の編集名義です。記事の調査・執筆・レビュー・翻訳の手順は「編集方針」ページに記載しています。
よくある質問
タイプが同じなら、成長していないのですか?+
公式の理論では、同じタイプでも使い方や表し方が育ちます。できるようになった行動を、結果の一致とは別に振り返れます。
結果が一文字変わったら、どちらが間違いですか?+
結果だけでは決められません。好みが不明瞭だった指標や回答時の状況が関わる可能性があります。説明と自分の普段の感覚を確かめてください。
表の年齢で性格が完成するのですか?+
年齢は理論上の目安です。タイプ発達は生涯にわたるものとされ、年齢表で人の成熟を採点することはできません。
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