愛着理論とは?ボウルビィから大人の恋愛まで、MBTIとの違いもやさしく解説
愛着理論が子どもと養育者の研究から大人の恋愛、4分類、現在の不安・回避の2軸へ発展した流れを解説します。愛着は変化し得るもので、MBTIとは別のものを測ります。
愛着理論は、親しい相手を安心して頼れる感覚と、その関係で生じる不安や回避を理解する理論です。子どもと養育者の研究から大人の恋愛へ広がり、現在は不安と回避の2軸で扱うことが一般的です。愛着は変化し得るもので、MBTIとは測っているものが違います。
- 愛着理論はボウルビィが体系化し、エインズワースの観察研究や、大人の恋愛への応用へと広がりました。
- 大人の愛着は4つのスタイルに分ける見方があり、研究では「不安」と「回避」の2つの軸で測るのが一般的です。
- 愛着は一生変わらない性質ではなく、年齢とともに不安や回避が平均して下がる傾向も報告されています。
- 愛着理論とMBTIは測っているものが違い、タイプから愛着スタイルを決めることはできません。
デートが当日に取り消され、一方は何度も理由を尋ね、もう一方は返事を止めました。二人はネットのテスト結果を持ち出し、「あなたは不安型」「そっちこそ回避型」と言い合います。これは愛着のラベルと今の行動を分けるための架空の場面です。
愛着の言葉は、関係で何が怖いかを考える助けになります。しかし一度のキャンセルや無料診断だけで人全体を決めるものではありません。理論がどこから始まり、研究で何を測ってきたかを順に見ます。
ボウルビィは、安心して頼れる関係を理論にした
イギリスの精神科医ジョン・ボウルビィは、子どもが養育者との関係の中で安心して頼れる感覚をどう育てるかを愛着理論として体系化しました。1969年から1980年にかけて刊行した『愛着と喪失』3部作は、第1巻「愛着」、第2巻「分離」、第3巻「喪失」から成ります。
ここで扱われたのは、性格を人気のタイプへ分けることではありません。危険や不安のとき、子どもがどのように養育者へ近づき、安全を確かめ、再び探索へ戻るかという関係の仕組みです。
1978年の観察では、乳児の反応を3つに整理した
メアリー・エインズワースらは、養育者との分離と再会を含む「ストレンジ・シチュエーション」で乳児の反応を観察しました。1978年にまとめられた手順は8つの場面からなり、約20分です。観察から、安定型、回避型、アンビバレント型という3つのまとまりが示されました。
これは大人がデートを断ったときの性格検査ではありません。乳児と養育者の特定の観察手順から得られた分類です。後の成人研究は、この考えをそのままコピーせず、恋愛関係に合う測り方へ展開しました。
大人の恋愛へ広がり、3分類から4分類へ
1987年、ハザンとシェーバーは2つの質問紙調査で、乳児の愛着の考えを成人の恋愛へ応用し、安定、回避、不安という3パターンが乳児期とほぼ同じような割合で見られると報告しました。1997年の米国全国代表サンプルでは、安定型59%、回避型25%、不安型11%と報告されています。
1991年、バーソロミューとホロウィッツは、自分への見方と他者への見方を組み合わせ、成人愛着を4つに整理しました。3分類の回避を、拒絶型と恐れ型へ分けた点が特徴です。
| 愛着スタイル | 自己観 | 他者観 |
|---|---|---|
| 安定型 | ポジティブ | ポジティブ |
| とらわれ型 | ネガティブ | ポジティブ |
| 拒絶型 | ポジティブ | ネガティブ |
| 恐れ型 | ネガティブ | ネガティブ |
3つと4つのどちらかが、すべての場面で唯一の名札という意味ではありません。研究目的とモデルが違います。自分へ一つの呼び名を貼るより、今の関係で不安と距離の取り方がどう現れるかを見ます。
現在は「不安」と「回避」の2軸で測る
1998年にブレナンらがまとめたECRは、「見捨てられることへの不安」と「親密さや依存を避ける傾向」の2軸で成人愛着を測ります。分類より連続的な強さを見る方法で、同じ人でも二つの値は別々に考えられます。
日本では、恋人を対象にしたECR日本語版が2004年に検討され、一般的な他者を対象にしたECR-GOも作られています。関係ごとに測る版の日本語版は2016年に検討され、それぞれ信頼性や妥当性が確かめられています。ネットの短い診断と、研究用尺度を同じものにしないでください。
愛着は一生固定されるとは限らない
2013年のメタ分析では、乳児期から成人初期までの愛着の安定性は中程度のr=.39で、調査間隔が15年以上になると有意な安定性は見られませんでした。変わらない運命という結果ではありません。
13歳から72歳までの628人を追跡した2019年の研究では、不安は平均して年齢とともに下がり、回避も生涯を通じて少しずつ下がりました。恋愛関係にあることは、不安と回避の低さに関連しましたが、恋人がいれば必ず改善するという因果の保証ではありません。
2002年の長期追跡研究には、乳児期に不安定な愛着を示しても、大人になって安定した愛着と良好な親密関係を示した例があります。ただし全員が同じ変化をするわけではありません。関係、経験、支援の中で変化する可能性がある、という読み方です。
キャンセルの場面を、二軸ではなく会話へ戻す
不安が高まった側は、「理由が分からないと関係が終わるようで怖い。次に話せる時刻を知りたい」と現在の必要を伝えられます。距離を取りたくなった側は、「今は説明する余力がない。明日の夕方に連絡する」と時間と境界を示せます。
相手を不安型・回避型と呼んでも、約束は決まりません。キャンセル時にいつ知らせるか、返答できないとき何を伝えるか、同じことが続いたらどうするかを具体化します。侮辱、脅し、支配がある場合は、愛着スタイルを理解して耐えるのではなく安全を優先します。
愛着理論とMBTIは別の問いを扱う
愛着理論は、親しい相手との安心、不安、親密さから距離を取る傾向を扱います。MBTIは情報の受け取り方と判断の選好を扱い、MBTIとは測っているものが違います。タイプから愛着スタイルを決めることはできません。
当サイトが確認した範囲では、MBTIタイプと愛着スタイルの対応を確立した信頼できる学術研究は見つかりませんでした。「INFJは不安型」「INTJは回避型」のような表は、理論を混ぜた推測です。
ネット診断は自分を振り返る入口にはできますが、診断や相手への判決にはしません。関係の悩みや強い不安が続いてつらいときは、カウンセラーなどの専門家や相談窓口を利用してください。
あわせて読む:『愛着スタイルとMBTIの関係は?』
出典
- 愛着理論の三部作:Bowlby(1969–1980)Attachment and Loss
- 乳児の愛着の分類とストレンジ・シチュエーション:Ainsworth ほか(1978)Patterns of Attachment
- ストレンジ・シチュエーションの手順:Bretherton(1992)Developmental Psychology 28(5) (参照)
- 大人の恋愛への応用:Hazan & Shaver(1987)Journal of Personality and Social Psychology 52(3) (参照)
- 米国の大人の愛着スタイルの割合:Mickelson, Kessler & Shaver(1997)Journal of Personality and Social Psychology 73(5) (参照)
- 4つの愛着スタイル:Bartholomew & Horowitz(1991)Journal of Personality and Social Psychology 61(2) (参照)
- 不安と回避の2つの軸(ECR):Brennan, Clark & Shaver(1998)
- ECR 日本語版:中尾・加藤(2004)『心理学研究』75(2) (参照)
- ECR-RS 日本語版:古村・村上・戸田(2016)『心理学研究』87(3) (参照)
- 愛着の安定性のメタ分析:Pinquart, Feußner & Ahnert(2013)Attachment & Human Development 15(2) (参照)
- 年齢による愛着の変化:Chopik, Edelstein & Grimm(2019)Journal of Personality and Social Psychology 116(4) (参照)
- 乳児期と成人後の愛着:Roisman ほか(2002)Child Development 73(4) (参照)
MBTI Type Guide の編集名義です。記事の調査・執筆・レビュー・翻訳の手順は「編集方針」ページに記載しています。
よくある質問
愛着理論とは何ですか?+
親しい相手を安心して頼れる感覚や、不安・回避が関係でどう現れるかを理解する理論です。
愛着スタイルは一生変わりませんか?+
固定された運命ではありません。研究では中程度の安定性と、時間や関係の中で変化する可能性が示されています。
愛着スタイルとMBTIは対応しますか?+
対応を確立した信頼できる研究は確認できず、二つは異なるものを測ります。
ネット診断で相手を分類してよいですか?+
一つの参考にとどめ、本人へラベルを押しつけず、現在の行動と必要を話してください。
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